急性単純性歯髄炎(急性漿液性歯髄炎)の原因と症状
急性単純性歯髄炎とは
急性単純性歯髄炎とは、歯髄充血から移行したもので、非感染性の急性歯髄炎です。
病理学的には、急性漿液性歯髄炎という名称が使われています。
文字通り、漿液の滲出が著しく、象牙芽細胞の変性や委縮が確認できます。
急性単純性歯髄炎は、一部性と全部性に分けることができ、以下のような違いがあります。
○急性一部性単純性歯髄炎
炎症が歯冠部歯髄に限局しているもので可逆性
○急性全部性単純性歯髄炎
炎症が歯根部歯髄にまで及んでいるもので不可逆性
急性単純性歯髄炎の原因
急性単純性歯髄炎の原因には、う蝕病巣の細菌性毒素(LPS)、細菌の分解産物などを挙げることができます。
その他、温熱刺激、酸刺激、外傷、修復材、窩洞形成といった物理化学的刺激も原因となります。
急性単純性歯髄炎の症状
急性単純性歯髄炎の症状は、一部性と全部性で以下のように違いがあります。
自発痛
一部性 → あり
牽引性、限局性、間歇性
全部性 → あり
牽引性、放散性、持続性
誘発痛
一部性 → あり
冷刺激、甘味刺激、酸味刺激、機械的刺激
全部性 → あり
冷刺激、温刺激
打診痛
一部性 → なし
全部性 → あり
電気診
閾値が低下する
急性単純性歯髄炎の経過と治療法
急性単純性歯髄炎は非感染性の疾患ですが、細菌感染を起こすと、化膿性歯髄炎へと移行してしまいます。
治療法は以下の通りです。
一部性
歯髄の消炎鎮痛療法
生活歯髄切断法
全部性
全部歯髄除去療法