急性壊疽性歯髄炎の原因と症状
急性壊疽性歯髄炎とは、歯髄に壊疽性の炎症が起こる病態です。
つまり、歯髄が壊死を起こした後、さらに腐敗菌が感染し、壊疽を起こすのです。
嫌気性の腐敗菌が関与することがほとんどです。
また、急性壊疽性歯髄炎では、歯髄のほぼ全てが腐敗しており、元の形を留めていません。
壊死と壊疽の違い
ここで、壊死と壊疽の違いについて、大まかに知っておきましょう。
壊死
壊死というのは、細胞や組織の単純な死を意味しています。
死んでしまったものが生き返ることはありませんから、不可逆性の変性と言えます。
壊死の原因は様々ですが、主なものに、血流の停止や毒素、細菌やウイルスへの感染や火傷、凍傷といったものを挙げることができます。
壊疽
一方、壊疽というのは、壊死した細胞や組織にさらなる感染が起こることで生じる変性です。
死んでしまった細胞に、腐敗菌が感染して、腐敗臭やガスなどを発生させます。
代表的な腐敗菌としては、クロストリジウムを挙げることができます。
急性壊疽性歯髄炎の原因は、壊死した歯髄への腐敗菌感染です。
う蝕の進行が早い若年者ほど、起こりやすい病態と言うことができます。
例えば乳歯が急性化膿性歯髄炎を発症すると、速やかに象牙質が破壊されていってしまうため、歯髄全体へと壊死が広がります。
同時に、外部から嫌気性の腐敗菌が流入することで感染が起こり、歯髄壊疽へ進んでいきます。
急性壊疽性歯髄炎の症状は、ほぼ急性全部性化膿性歯髄炎と同じです。
つまり、激しい拍動性の痛みが起こります。
ただ1点大きく異なるのは、急性壊疽性歯髄炎の場合、独特の異臭を放つという点です。
これは歯髄が腐敗することによって生じた腐敗臭です。
急性壊疽性歯髄炎は、治療せず放置しておくと、歯髄全体に腐敗分解が起こり、最終的には歯髄壊疽へ移行します。