上行性歯髄炎の原因と症状
上行性歯髄炎とは
上行性歯髄炎では、髄管や根尖孔から細菌が侵入して、歯髄に感染が起こります。
本来の歯髄炎は、歯冠部にう蝕が生じて、そこから歯髄へと細菌が進行していきます。
ですから、上行性歯髄炎は逆方向から感染が起こると言えるため、わざわざ「上行性」という名前がついているのです。
「上昇性歯髄炎」と呼ばれることもありますので注意しましょう。
上行性歯髄炎の原因
上行性歯髄炎の原因は、以下の3つを挙げることができます。
どれも歯冠からではなく、その周りの組織から細菌が侵入している点が共通しています。
・歯周ポケット
・隣在歯の根尖病巣
・菌血症
歯周病が進行すると、歯周ポケットがかなり深くなります。
すると、細菌が根尖にまで到達し、歯髄へと侵入していってしまうのです。
隣在歯の根尖に病巣がある場合も、歯周組織を経由して、歯髄腔内に細菌が侵入してくることがあります。
ですから、慢性化した歯髄炎やう蝕を放置しておくと、周囲の歯にまで悪影響が及んでしまうのです。
菌血症に関しては、文字通り、汚染された血液が血流に乗って、歯髄へと入り込みます。
歯髄内の血管も全身へとつながっているため、こうした血行感染が起こり得るのです。
上行性歯髄炎の症状
上行性歯髄炎の症状は、急性化膿性歯髄炎とほぼ同じです。
自発痛はもちろんのこと、冷温刺激による誘発痛も生じます。
上行性歯髄炎では、う窩が存在しないにも関わらず、こうした急性症状が突然現れてきます。
上行性歯髄炎の治療法と経過
上行性歯髄炎の治療は、基本的にう蝕における歯内療法と同じです。
実際、歯質にはう蝕病変は生じていないのですが、窩洞形成をして、根管治療を行うこととなります。
根尖部からアプローチする方法もありますが、ケースバイケースと言えるでしょう。