フッ化物の局所応用
フッ化物のう蝕予防には、全身応用と局所応用とがあります。
ここでは、局所応用について詳しく説明していきます。
フッ化物の局所応用は、以下の5つの方法で行われます。
ちなみに、フッ化物による急性中毒は体重30kgの人が60mgF摂取することにより起こります。
フッ化物洗口法は、フッ化ナトリウム水溶液によって、お口をすすぐ方法です。
週1回行う方法と、毎日行う方法とがあります。
それぞれのフッ化物濃度は以下の通りです。
週1回法 900ppm(0.2%NaF)
毎日法 225ppm(0.05%NaF)
1回で使用される溶液は、5〜10mlです。
毎日法だと、濃度がかなり低めに抑えられているのがわかります。
このフッ化物洗口法を行うのは、4歳から15歳くらいまでの期間です。
口腔内残留率は?
10〜15%
1回の摂取量は?
1.5mgF
フッ化物歯面塗布法では、フッ化物洗口法の10倍の高濃度フッ化物溶液を使用します。
そのため、歯科医師や歯科衛生士でなければ施術できません。
塗布剤には、以下のようなものが用いられています。
2%NaF溶液
APF溶液
APFゲル
8%フッ化第一スズ溶液
APF → 酸性フッ化リン酸溶液
1回で塗布する量は、溶液2ml(ゲル2g)以内と決められています。
口腔内残留率は?
6〜17%
1回の摂取量は?
3mgF
フッ素の効果が認知され、市販されている歯磨剤のほとんどに、フッ化物が配合されるようになりました。
配合されているのは、以下のような種類のフッ化物です。
フッ化ナトリウム
フッ化第一スズ
モノフルオロリン酸ナトリウム
歯磨剤に配合されるフッ化物の濃度は、薬事法により、1000ppmF以下と定められています。
口腔内残留率は?
30%
1回の摂取量は?
0.3mgF(1回あたり)
フッ化物スプレーは、フッ化物溶液を歯面に直接噴きかける方法です。
用いられるのは、100ppmF濃度のフッ化物溶液です。
このスプレーをした際には、薬剤の拭き取りや洗口を行わないため、噴霧した量全てが摂取量となります。
ただ、1日3回行ったとしても、摂取量は0.1mg以下ですので、健康を害することはありません。
フッ化ジアンミン銀は、初期う蝕に対して塗布される薬剤です。
フッ化銀30%、アンモニア8%の割合で配合されており、塗布することでう蝕の進行を抑えます。
けれども、銀と歯質のタンパク質が結合することにより、歯が黒ずんでしまうという欠点があります。
そのため、適用されるのは乳歯のう蝕が主で、永久歯に対してはまず用いられません。