唾液の組成
唾液には、沢山の無機質と有機質が含まれています。
これらには、それぞれ異なる働きがあります。
カルシウムとリン酸
カルシウムとリン酸は、エナメル質の再石灰化に寄与しています。
同時に、歯石の形成にも関与しています。
また、リン酸は唾液緩衝能を担う物質です。
ちなみに、唾液のpHが中性に保たれていると、カルシウムとリン酸は過飽和状態にあると言えます。
そうすることで、エナメル質が溶け出すのを防いでいるのです。
重炭酸
重炭酸は、唾液の緩衝能を担っています。
リン酸にも同様の作用がありますが、以下のように、緩衝能を担う割合が異なります。
重炭酸 85%
リン酸塩 15%
つまり、唾液の緩衝能のほとんどは重炭酸が担っているということになります。
塩素イオン
塩素イオンは、唾液アミラーゼの活性化因子として働きます。
ロダン(チオシアン)
ロダンは、酵素ラクトペルオキシダーゼの補助因子として働きます。
フッ素
唾液中のフッ素濃度は0.1〜0.2ppmに保たれています。
フッ素は、歯質の強化に寄与します。
酵素
α−アミラーゼ
α−アミラーゼはでんぷんを分解して、低分子デキストリン、マルトース、グルコースなどを生じさせます。
リゾチーム
微生物の細胞壁を破壊して、溶菌させます。
唾液の抗菌作用は、リゾチームが担っています。
ラクトペルオキシダーゼ
ラクトペルオキシダーゼは、過酸化水素を分解します。
その結果、抗菌因子として働くシアン硫酸、亜シアン硫酸を生成します。
その他の有機質
ムチン
唾液に粘性を与える糖タンパク質です。
唾液のネバネバとした粘り気は、ムチンが担っています。
IgA
唾液中に含まれる免疫グロブリンです。
その多くは分泌型IgAです。
ラクトフェリン
溶菌作用のあるリゾチームは、鉄イオンによって、その働きを阻害されます。
ラクトフェリンは、その鉄イオンと結合するため、結果的にリゾチームの活性と高める役割を果たします。
そうした性質から、鉄結合性タンパク質と呼ばれています。
サイアリン
サイアリンは、低分子ペプチドの一種です。
唾液pHを上昇させる働きを持っています。