アンキローシス(骨性癒着)
アンキローシスとは
アンキローシス(ankylosis)とは、骨性癒着とも呼ばれる病態です。
文字通り、歯と骨とが結合してしまう状態を指します。
これはつまり、本来歯と骨の間に存在している歯根膜結合が消失して、硬組織と硬組織が直接つながってしまうことを意味します。
厳密に言えば、セメント質と歯槽骨が結合します。
好発部位は、臼歯です。
アンキローシスの原因
アンキローシスの主な原因は、外傷です。
交通事故などで歯に強い衝撃が加わることで、骨性癒着が生じます。
これは、局所的な炎症が長期間続くことで、歯根膜が損傷するためであると考えられます。
また、外傷などで歯が抜け落ちてしまい、再植処置を施した場合も、歯根膜が正常な状態に戻らず、アンキローシスを起こすことがあります。
アンキローシスの特徴
アンキローシスを起こした歯には、次のような特徴が現れます。
・歯槽硬線の消失
・叩くと金属音がする
・加齢によって相対的に低位となる
・対合歯は挺出する
・矯正による歯の移動が困難
・乳歯に起こると後続永久歯の萌出を妨げる
歯根膜がなくなれば骨組織として認識される!
アンキローシスでは、歯根膜が消失して、歯槽骨と結合します。
すると、体の方は歯を骨と同じものと認識するようになります。
その結果、置換性吸収(replacement resorption)という現象が起こるのです。
この置換性吸収というのは、骨のリモデリング(改造現象)と同じですから、骨もろとも吸収されていくこととなります。
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