パラタルフラップのデザイン
パラタルフラップの特徴
パラタルフラップは口蓋の解剖学的特性のため、上下顎の頬側や下顎の舌側とは異なったフラップのデザインを必要とします。
具体的には、以下の3点を特徴としています。
@深い歯周ポケットを積極的に除去し、生理的な浅い歯肉溝を確立
A清掃しやすい歯肉形態
Bパラタルフラップを歯槽骨縁の形態と一致させる
パラタルフラップと口蓋組織の解剖学的特性との関係
上記の3つの特徴は、次に挙げる口蓋組織の解剖学的特性に関係しています。
解剖学的特性@
口蓋は咀嚼粘膜であり、弾性線維や疎性結合組織がない非可動性の組織である。
そのため、パラタルフラップを根尖側に移動することはできない。
解剖学的特性A
口蓋の組織は、角化した厚い組織であるため、歯面や骨縁に正確に密着、適合させることが難しく、術後の歯肉形態が悪くなりやすい。
そのため、ブラッシングが難しい厚い棚状の形態や歯肉クレーターを作ってしまい、術後歯周ポケットが再発しやすい。
解剖学的特性B
口蓋側では歯肉壁が厚いため、ブラッシング、スケーリングなどの初期治療によって歯肉の収縮が生じにくいので、初期治療による歯周ポケットの減少が期待できない。
解剖学的特性C
口蓋側の歯肉は器具の到達性が悪いので、治療およびセルフケアが不十分になりやすい。
パラタルフラップでは、歯肉内面を薄く削ぐようなpartial-thicknessの内側切開を行い、薄く均一な厚さのフラップを形成することで、歯面や歯槽骨への密着を容易にする。
それにより、術後に清掃しやすいような歯肉形態を作ることができる。
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