歯科国試過去問 90C-52
歯石について正しいのはどれか。(3つ)
a. 主成分はリン酸カルシウムの結晶体である。
b. 臼歯咬合面の小窩裂溝には沈着しない。
c. 沈着は一定の速度で進行する。
d. 歯垢のpHが高くなると形成されやすい。
e. 表面には歯垢が付着している。
*解答はページの一番下に掲載しています。
歯石表面の歯垢が歯周病を誘発
歯石の主成分
歯石の83%は無機質で、そのほとんどがリン酸カルシウムです。
リン酸カルシウムは、ハイドロキシアパタイトやリン酸オクタカルシウム、ウイトロカイトといった結晶体で、歯石内に存在しています。
歯石の病原性
歯石は歯周病を引き起こす危険因子です。
けれども実は、歯石自体にはそれほど強い病原性はありません。
歯垢が石灰化して形成された歯石は、歯肉に対して機械的な刺激をもたらします。
その結果、歯肉の炎症を引き起こすことがあります。
ほとんどが無機質で構成された歯石が、歯肉という軟組織に対して機械的刺激をもたらすのは容易に想像がつくかと思います。
それよりも、歯石の表面に付着した歯垢の方が病原性が高いといえます。
歯垢には、歯周病を誘発する細菌が数多く生息しています。
つまり歯石は、細菌が増殖しやすい環境を提供していると考えることができるのです。
・歯石自体に強い病原性はない
・歯石表面の歯垢が歯周病を誘発
歯垢のpHと歯石の形成機序
歯垢のpHが上昇すると、歯垢の石灰化を促進されます。
これは、歯垢の中に存在しているムチンが、pHの影響を受けて、カルシウム結合能を増強するためです。
ですので、歯石がたまりやすい人は、歯垢のpHが高くなりやすい生活習慣や体質の持ち主である可能性があります。
・歯垢pHの上昇で石灰化が促進
・ムチンがカルシウム結合能力を増強
解答
a ○
b ×
c ×
d ○
e ○