死腔(解剖学的死腔と生理学的死腔)
死腔(シクウ)とは
死腔とは、空気が通過する呼吸器系の経路の中で、ガス交換に関与しない部位を指します。
この死腔は、次の2つに分類することができます。
・解剖学的死腔
・生理学的死腔
解剖学的死腔とは
解剖学的死腔とは、口腔及び鼻腔から、終末細気管支までの部位を指します。
ここまでの経路は、空気が通過するものの、ガス交換には関与しない組織で構成されています。
ボーアの式(Bohr equation)を用いれば、肺の死腔を計算によって導き出すことができます。
ボーアの式は、死腔の容積を呼気量で割ったもので、標準的な成人男性の肺の死腔(デッドボリューム)は、以下のような数値となっています。
150ml(2〜3ml/kg)
これは、1回換気量の約30%に当たります。
生理学的死腔とは
生理学的死腔とは、解剖学的死腔に肺胞死腔を加えた値です。
生理学的死腔=解剖学的死腔+肺胞死腔
本来、肺胞というのはガス交換を行う組織です。
けれども、極端に血流が少なかったり、血流が止まっている肺胞では、ガス交換を行うことが困難となります。
そういった部位を肺胞死腔と呼びます。
標準的な成人では、肺胞死腔が30〜50mlあります。
肺胞死腔 → 30〜50ml
人為的に作られる死腔
生理学的死腔や解剖学的死腔は、それぞれの体に予め備わっているものです。
けれども、死腔の中には、人為的に作られるものもあります。
そうしたものは、機械的死腔と呼ばれます。
機械的死腔は、治療の際に用いられる器具などで生じる死腔で、主にマスクやYアダプターなどが原因となります。
・マスク
・Yアダプター