因果関係の5つの判定基準
因果関係が立証されて初めてリスク因子と呼べる
医療の現場では、病気のリスク因子というものが語られます。
例えば、運動不足は糖尿病のリスク因子である、といったことをよく耳にしますよね。
こういった病気との関連性を述べる際、必ず、因果関係が証明されていなければなりません。
医学も科学の一分野ですから、必ず根拠となるものが必要になるのです。
それが無いものは、疑似科学と呼んで揶揄することもあります。
ではどうしたら、ある事象の因果関係を立証することができるのでしょうか。
そこで採用されるのが因果関係の判定基準です。
強固性
一致性
時間性
特異性
整合性
全部で5つあり、これらを満たすことができれば、因果関係が証明されたと考えることができます。
関連の一致性(consistency)
関連の一致性とは、ある地域や時代にのみ該当せず、その関連が普遍性を持っていることを意味しています。
例)
日本だけでなく、アメリカやヨーロッパでも同様に事実が認められる。
関連の強固性(strength)
関連の強固性とは、原因と結果に密接な関係があることを指します。
例)
糖分の摂取率が高くなるほど、う蝕の発症率も高くなる。
関連の特異性(specificity)
関連の特異性とは、原因と結果との間に特異的な関係が認められる場合を指します。
例)
水道水に含まれるフッ化物濃度が高い地域では、斑状歯の発生率が高くなる。一方、水道水のフッ化物の低い地域では、発生が起こらない。
関連の時間性(temporality)
関連の時間性とは、原因 → 時間 の順序が成り立っている場合を指します。
例)
糖質を摂取した後に、エナメル質の脱灰が起こる。
関連の整合性(coherence)
関連の整合性とは、既存の知識体系と矛盾していないことを指します。
例)
エナメル芽細胞はフッ化物感受性が高いため、フッ化物の過剰摂取によって斑状歯が発生する。