ペリクル(獲得被膜)
ペリクル(pellicle)は、歯の付着物の一種です。
歯面全体を覆っている、被膜と言うことができます。
また、ブラッシングをして数分後には、既に形成されています。
つまり、私たちの歯には、絶えずペリクルが存在しているのです。
そんなペリクルは、歯垢と混同されがちですが、別物です。
歯垢との違いは、構成されている成分を見るとわかります。
・無細胞で、無構造の有機質被膜から成る
・唾液由来の糖たんぱく質から成る
・アミノ酸組成 → グリシン、セリン、グルタミン酸が40%を占める
・タンパク質 → アミラーゼ、リゾチーム、IgA → 典型的な唾液タンパク質
・厚さは0.1〜1μm前後
ペリクルには、細菌が含まれていないというのがポイントです。
ここに、細菌が住み着き、細菌叢が形成されていくと、プラークへと発展していきます。
つまり、ペリクルとはプラークが形成される土台と言うことができます。
ペリクルは、粘性が高く、細菌や食べカスなどを吸着しやすい性質を持っています。
そうしたペリクルの性質は、歯面への有害作用と防御作用の両方を生み出します。
ペリクルの有害作用
ペリクルは、口腔内の細菌を選択的に付着させます。
細菌なら、どんなものでも引き寄せるわけではないのです。
この選択的というのが厄介で、簡単に言えば、細菌叢が成熟しやすいように、細菌の付着を誘導します。
それから、歯垢の中に存在する細菌へ、栄養を供給する役割も果たします。
ペリクルの防御作用
歯面をペリクルが覆っていると、歯質を外来からの刺激から守ってくれます。
特に、酸の侵襲に対するエナメル質の保護作用が大きいです。
その他、歯質が脱灰するのを抑えると同時に、再石灰化を促す作用もあります。