みんなの歯学〜歯学部1年生でも理解できる!

アペキソゲネーシスとアペキシフィケーション

アペキソゲネーシスとアペキシフィケーション

生えて間もない歯は、歯根が未完成であることが多いです。

 

これを根未完成歯(こんみかんせいし)と言います。

 

この根未完成歯がう蝕になったり、外傷によって、歯髄に炎症が生じると、とても厄介なことになります。

 

その時に知っておくべき概念がアペキソゲネーシスとアペキシフィケーションです。

 

・アペキソゲネーシス apexogenesis

 

・アペキシフィケーション apexification

 

どちらも、日常生活上では決して耳にすることがない言葉ですが、根管治療を行う上では、必ず知っておかなければなりません。

 

 

根が未完成なのでそのままでは根充できない!?

 

通常の根管治療では、歯根が完成した永久歯を対象としているので、歯髄処置をした後に、根管充填をしても何ら問題はありません。

 

しかしながら、根未完成歯は、言ってみれば底が抜けたバケツです。

 

そこに根充剤を入れてしまうと、歯周組織へと漏れてしまいます。

 

そこでとられる処置がアペキソゲネーシスとアペキシフィケーションです

 

 

アペキソゲネーシスとアペキシフィケーションの違い

 

アペキソゲネーシスは、生活歯髄が残っている場合に適用されます。

 

その際、ラッパ状に開いている根尖を生物学的に閉鎖させます。

 

これは、生活歯髄の中に、象牙芽細胞が存在しているため、可能となります。

 

シンプルに言えば、天然の歯に限りなく近い組織で、根尖を完成させるのがアペキソゲネーシスです。

 

一方、アペキシフィケーションは、無髄の根未完成歯に適用されます。

 

無髄ですから、神経は壊疽や壊死を起こしています。

 

ですので、ラッパ上に開いた根尖は、セメント質によって閉鎖されることはありません。

 

そこで、アペキシフィケーションでは、水酸化カルシウム製剤を充填して、骨様象牙質や骨様セメント質でもって根尖を閉鎖します。

 

これは骨に限りなく近い組織と言えます。

 

つまり、アペキソゲネーシスとアペキシフィケーションの違いは、以下のようにまとめることができます。

 

アペキソゲネーシス

 

・歯髄が生きている

 

・根尖は天然歯に近い組織で閉鎖

 

アペキシフィケーション

 

・歯髄が死んでいる

 

・根尖は骨に近い組織で閉鎖

 

ちなみに、どちらの処置法にしても、根尖が閉鎖された時点で、改めて抜髄および根管充填を行うことが推奨されています。

 

そう考えると、アペキソゲネーシスでは、最後まで歯髄を残すことが目的ではないことがわかります。

 

要は、根尖をできるだけ自然に近い状態に持っていくために、行っているのです。

 

最後は抜髄してしまいます。

 

 

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