歯科国試過去問 94D-79
舌苔で正しいのはどれか。(2つ)
a. 唾液ムチンや微生物、剥落上皮などからなる。
b. 舌ブラシによる刷掃で90%以上除去できる。
c. 舌粘膜上皮細胞1個あたり約10の4乗個の微生物が存在する。
d. 主な微生物の約50%はグラム陰性桿菌が占める。
e. BacteroidesやFusobacteriumは不快な臭いの原因になる。
*解答はページの一番下に掲載しています。
舌苔(ゼッタイ)の成分と微生物叢
舌苔は、舌背部に付着している白い物質です。
外から口腔を見た際に見える部分が舌背部で、舌苔は肉眼で確認することができます。
舌背部には、舌乳頭と呼ばれる組織が存在し、その中には味を感知する味蕾が含まれています。
これらが複雑な形態を成しているため、嫌気的な環境が生じ、微生物等が繁殖しやすくなっているのです。
舌苔の成分は次の通りです。
・唾液ムチン
・微生物
・剥落上皮
・脂肪球
・色素
・白血球
・食物残渣
・通性レンサ球菌 38%
・ベイヨネラ 14%
・通性ジフテロイド 13%
・嫌気性ジフテロイド 7.4%
・ブドウ球菌
・バクテロイデス(Bacteroides)
・カンピロバクター
・フゾバクテリウム(Fusobacterium)
・グラム陰性桿菌 3.2%
解答
a ○
b ×
c ×
d ×
e ○
補足
b → 舌苔は、舌ブラシなどで清掃しても、表層に堆積したものしか除去できません。また、舌背中央部から、舌根部にかけて堆積した舌苔を除去するのは非常に困難で、無理に取り除こうとすると、舌表面の組織に傷とつけてしまうこともあります。
c → 舌粘膜上皮細胞1個当たり100個以上の微生物が生息していると考えられています。
e → BacteroidesとFusobacteriumは、グラム陰性の嫌気性桿菌で、口臭の原因となる揮発性硫化物を産生します。