歯科国試過去問 93D-65
生体におけるカルシウムについて正しいのはどれか。(3つ)
a. 腸管からのカルシウム吸収はシュウ酸で促進する。
b. 乳幼児のカルシウム摂取基準は成人より多い。
c. 血清中の大部分のカルシウムは有機酸と結合している。
d. 人工栄養児は母乳栄養児よりカルシウム吸収率が低い。
e. 体内カルシウムの99%は骨と歯に含まれる。
*解答はページの一番下に掲載しています。
組織局在性の高いカルシウムの特徴
カルシウムは、生体内で様々な機能を果たしている重要なミネラルです。
そのため、生体に含まれるミネラルで最大の割合を占めています。
そんなカルシウムの98〜99%は、骨と歯に貯蔵されています。
かなり組織局在性の強いミネラルといえます。
残りの1〜2%は、血液や軟組織、細胞外組織および臓器に存在しています。
・生体内のミネラルで最大の割合
・98〜99%は骨と歯に貯蔵
・1〜2%は血液や軟組織などに存在
・組織局在性が強い
乳児が母乳によって育てられるのか、あるいは人工栄養によって育てられるのかによって、カルシウムの吸収率が変わってきます。
母乳には、腸内細菌の繁殖を促すビフィズス因子が含まれています。
腸内細菌の代表である乳酸菌は、乳糖を分解する際に乳酸を産生して、腸内環境を酸性にします。
すると、カルシウムを始めとしたミネラルが吸収されやすくなるのです。
・母乳のビフィズス因子が腸内細菌の繁殖を促進
・乳酸菌が腸内を酸性にする
・カルシウムは酸性環境で吸収が促進
シュウ酸は、カルシウムの不溶性塩を生じさせるため、腸管内でのカルシウム吸収を阻害します。
具体的な食品としては、ホウレンソウやチョコレートなどを挙げることができます。
シュウ酸と関連の深い病気に、尿路結石があります。
尿路結石は、シュウ酸を過剰摂取した結果、尿管内でシュウ酸カルシウムという不溶性塩が沈着して発症する病気です。
・シュウ酸はカルシウムの不溶性塩を作る
・ホウレンソウやチョコレート
・過剰摂取で尿路結石を誘発
解答
a ×
b ×
c ×
d ○
e ○
補足
b → 1〜2歳の推奨量は400mg/日
成人で最も少ない70歳以上の女性であっても、700mg/日であるため、乳幼児のカルシウム摂取基準は成人より少ないといえる。