霊長空隙と発育空隙の違い
霊長空隙と発育空隙は、どちらも小児の歯列に現れる隙間を指しています。
お子さんのお口の中では、乳歯から永久歯への交換という、とても大規模な変化が訪れますよね。
その際、永久歯への移行を少しでもスムーズに達成するため、様々な工夫が凝らされているのです。
代表的なのが、この霊長空隙や発育空隙、それからリーウェイスペースといった隙間です。
こうした隙間が適切な時期に、適切な量だけ生じることで、歯の交換がスムーズに進んでいくのです。
そこでまず、霊長空隙に関して詳しくご紹介していきます。
霊長空隙とは、乳歯列における犬歯の周囲に発生する隙間です。
この霊長空隙は、次のように上下で位置が異なります。
上顎 → 乳犬歯の近心位
下顎 → 乳犬歯の遠心位
これをさらに専門的に表現すると次のようになります。
上顎 → B・C間
下顎 → C・D間
霊長空隙の使い道
このように、霊長空隙というのは、上下で微妙に位置が異なります。
これは、上下の空隙でそれぞれ使用方法が異なることを意味しています。
上顎の霊長空隙は、前歯の交換に使われることになります。
下顎の霊長空隙は、第一大臼歯の交換に関与します。
上顎の空隙 → 前歯の交換
下顎の空隙 → 臼歯の交換
ですので、第一大臼歯が萌出すると下顎の霊長空隙は閉鎖されます。
発育空隙とは、小児に見られる歯列の生理的空隙のうち霊長空隙以外のものを指します。
ですから、「発育」という広い意味を表す言葉が使われています。
その中でも特に、上顎前歯部に生じる空隙を指すことが多いです。
つまり、前歯がスカスカな状態となるため、「醜いアヒルの子」の時期と称されることもあります。
発育空隙の発生時期と消失時期は?
発育空隙は、第一大臼歯萌出完了期に発生することがほとんどです。
これは専門的には「VA期」と呼ばれる時期です。
この時期には、顎の骨の中で永久歯の切歯が大きく成長していくため、歯列の幅も拡大することとなります。
その結果、空隙が生じるのです。
そうして生じた空隙は、あくまで生理的なものなので、永久歯の萌出が完了すると消失していきます。
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