循環障害(虚血と充血とうっ血)
循環障害には、主に以下の3つの症状が存在しています。
どれも聞き慣れた言葉なのですが、その意味するところはかなり異なります。
・虚血(きょけつ)
・充血
・うっ血
*充血とうっ血の違いについては、歯髄充血の原因と症状のページで、わかりやすく説明しています。
虚血では、体の一部で血液の供給が減少、あるいは一時的に停止します。
ポンプとしての役割を担う心臓は、拍動する度に、全身の筋肉へ血液を供給します。
この供給が局所的に滞ることを、虚血と呼んでいます。
例えば、大腸への血液供給が滞ると、虚血性大腸炎を引き起こすことがあります。
また、冠動脈から心筋への血液供給が滞ると、虚血性心疾患(狭心症と心筋梗塞)を引き起こすことがあります。
このように、虚血を起こす部位によって、異なる病気を引き起こすのです。
充血では、動脈血の循環量が局所的に増加します。
充血は、以下の4つに分類することができます。
機能的充血
循環機能が亢進して起こる充血で、生理的なものです。
血管運動神経障害による充血
血管も神経の支配を受けて、運動しています。
この神経に障害が起こることで生じる充血を指します。
筋性または筋麻痺性充血
動脈壁には、平滑筋が存在しています。
この平滑筋あ麻痺を起したりして、運動障害が生じると、充血を引き起こします。
代償性充血
体の一部分に貧血が生じた場合、それをどこかで代償しなければならなくなります。
なぜなら、全身の血液量は一定だからです。
そうして生じる充血が代償性充血です。
多くの場合、貧血が生じた付近の器官や組織で起こりますが、遠隔で起こることもあります。
うっ血とは、静脈血の循環量が異常に増加した状態です。
これは局所的に起こるものです。
うっ血が起こると、毛細血管圧が高まり、静脈血がうっ滞します。
すると、血液中の還元ヘモグロビンが増加して、チアノーゼを引き起こすこともあります。
還元ヘモグロビンとは、酸素を手放したヘモグロビンです。
また、うっ帯を起こしている皮膚が局所的に青藍色を呈することもあります。
この状態が長引くと、うっ血性水腫をきたします。
さらに長期に渡ると、結合組織が増殖していき、うっ血性硬化を招いてしまうのです。
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