パラタルフラップの術式
パラタルフラップ手術は、Staffileno(1969)によって開発され、Corn(1980)によってさらに改良されたフラップ手術です。
口蓋組織が厚く肥厚した場合に用いられる歯周ポケット除去手術で、歯肉組織の厚い他の部位にも広く適用され、利用価値が高いとされています。
図1
パラタルフラップ手術における一次切開の位置(図1-a)は、以下に挙げる点を考慮して設定する必要があります。
また、口蓋組織が厚いほど、術後の歯肉形態を良くするために一次切開の位置は根尖側寄りになるという特徴があります。
@口蓋組織の厚さ
A歯周ポケットの深さ
B骨欠損の程度
C骨の形態修正の必要性と臨床的歯冠長
均一な一次弁(1.5〜2.0mm)を形成するためには、一次弁の辺縁をティッシュプライヤーなどで把持し、口蓋軟組織を平行にコントロールしながら口蓋の中央方向にメスを動かしていきます(図1-b,c)。
切開中はフラップを穿孔しないように注意し、さらに十分な血液供給の確保のために、弁が極端に薄くならないように気を付ける必要があります。
図2
二次弁を歯根面から剥離し、一塊として除去しやすいように歯周ポケット底部から歯槽骨へと二次切開を入れます(図2-d)。
No.12Bの替刃メスやOchsenbein No.2チゼルを使用します。
次に、歯から分離した二次弁を止血鉗子で掴みながら、No.15替刃メスで一次切開を骨にまで延長させ、二次弁と一次弁を完全に分離し、一塊として除去します(図2-e)。
すると、その後のキュレット操作が容易となり、手術時間も短縮することができるのです。
フラップの辺縁は骨頂部をやや被覆するか骨縁上の位置に縫合されるのが良いです(図2-f)。
参考文献
『歯周外科の臨床とテクニック』クインテッセンス出版
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