歯の内部吸収の原因と症状
歯の内部吸収とは、歯質が歯髄腔側から溶けていくことです。
本来、歯質が吸収するのは、外部からですよね。
う蝕によって、エナメル質及び象牙質が溶かされ、歯髄へと至ります。
けれども、歯の内部吸収では、内側から歯質が溶けていくのです。
歯の内部吸収の原因には、まず外傷を挙げることができます。
転んだ際に、前歯を地面に殴打したり、野球のボールが顔面に衝突することで起こります。
この時、慢性歯髄炎が発症し、その結果として、ジワジワと歯を内部から吸収させていってしまうのです。
それから、乳歯から永久歯に生え変わる時期にも、歯の内部吸収が起こることがあります。
その他、生活歯髄切断法の経過が悪く、歯髄炎が発症し、歯の内部吸収に至ることもあります。
基本的には、不可逆性の慢性歯髄炎が根本的な原因となっています。
歯の内部吸収は、無症状で進行していくことが多いです。
ですので、歯の定期健診などを受けた際に、たまたまエックス線検査で発見されるケースがほとんどです。
もちろん、歯の色などに変化が見られるようになることでも発見されます。
歯の変化の代表的な症状に、ピンクスポットを挙げることができます。
ピンクスポット
歯の内部吸収では、ピンクスポットと呼ばれる特徴的な症状が現れます。
このピンクスポットは歯冠部で観察されます。
「なぜピンク色をしているの?」と疑問に思われることでしょう。
これは、歯髄存在している神経や血管が溶けて、ピンク色を呈しているからです。
それが、歯の内部吸収によって薄くなった歯質から、透けて見えるようになるのです。
その他、歯の内部吸収では、根管壁穿孔を起こすこともあります。
歯の内部吸収の治療は、抜髄です。
神経を抜くことによって、歯の内部吸収は止まります。
つまり、失活歯には内部吸収が起こらないということが言えます。
ただし、先ほど述べたような根管壁穿孔などが起こっているケースでは、抜歯を始めとした何らかの外科処置が必要となります。