象牙質橋(デンティンブリッジ)の構造と形成される仕組み
象牙質橋(デンティンブリッジ)とは
象牙質橋はデンティンブリッジとも呼ばれる硬組織で、生活歯髄切断後に生じます。
冠部歯髄を切断した後、歯根部歯髄を温存するために作られる組織です。
歯髄壊死直下に生じる
生活歯髄切断法で用いられる水酸化カルシウム糊剤を歯髄創面に貼すると、表在性の凝固壊死が起こります。
その結果、壊死層直下に生じるのがデンティンブリッジと呼ばれる硬組織被蓋なのです。
ですので、傷口を守るために新たに形成された象牙質ということもできます。
生体防御の一種と考えましょう。
象牙質橋(デンティンブリッジ)の構造
デンティンブリッジは、二層構造になっています。
表層寄りには骨様象牙質が存在し、内側の層には、象牙細管を有する本物の象牙質が形成されています。
・骨様象牙質(表層)
・象牙質(内層)
象牙質橋(デンティンブリッジ)が形成される仕組み
生活歯髄切断法を適用すると、創面付近に存在していた象牙芽細胞は死滅してしまいます。
では、どうやって新生象牙質を形成することができるのでしょうか。
これは、歯髄細胞が象牙芽細胞に分化するすることで可能となります。
ただし、形成されるのは本来の象牙質に似た組織であり、完全に再生されるわけではありません。
具体的には、創面を橋渡しするように形成された象牙質橋には、れんこん状の欠損が生じています。
また、象牙細管も完全な状態では形成されません。
けれども、歯根部歯髄を守るという役割は、きちんと果たしてくれます。
強アルカリが骨様象牙質の形成を促進する
水酸化カルシウム糊剤は、強アルカリ性です。
そこで、酸性のリン酸カルシウムや接着性レジンを創面に貼付した場合、デンティンブリッジは形成されるのでしょうか。
答えはノーです。
これらの物質では、骨様象牙質は形成されたないため、デンティンブリッジの形成を促すのは強アルカリ性の物質であると考えられています。
象牙質橋(デンティンブリッジ)の構造 関連ページ
- 歯の萌出のメカニズム
- 第二象牙質と第三象牙質の違い
- 第二象牙質(生理的第二象牙質)
- 第三象牙質(修復象牙質・補綴象牙質・病的第二象牙質)
- 象牙質粒(ゾウゲシツリュウ)
- 不整象牙質(不正象牙質)
- マラッセの上皮遺残(ジョウヒイザン)
- 先天性ナスミス膜(歯小皮)
- ハウシップ窩
- 破歯細胞(ハシサイボウ)
- ホスホホリン(象牙質リンタンパク質)
- 歯乳頭(シニュウトウ)
- シャーピー線維
- 管周象牙質(カンシュウゾウゲシツ)
- 管間象牙質(カンカンゾウゲシツ)
- オキシタラン線維
- 副根管(フクコンカン)
- 樋状根(トイジョウコン)
- 髄管(ズイカン)
- 根尖分岐(コンセンブンキ)
- レチウス線条
- オーエンの外形線
- 象牙質歯髄複合体
- 咀嚼粘膜(ソシャクネンマク)
- メッケル軟骨
- 星状網(セイジョウモウ)
- エナメル髄
- ヘルトヴィッヒ上皮鞘
- トームス突起
- トームス線維
- トームス顆粒層
- 外套象牙質(ガイトウゾウゲシツ)
- 無小柱エナメル質