先天性ナスミス膜(歯小皮)〜ペリクルとの違い
先天性ナスミス膜(歯小皮)とは
先天性ナスミス膜とは、エナメル質表面を覆う、耐酸性有機性薄膜です。
歯小皮と呼ばれることもあります。
この膜は、歯が萌出すると、間もなく消失します。
対合歯の接触による摩耗で失われるケースがほとんどです。
・エナメル質表面の耐酸性有機性薄膜
・ナスミス膜=歯小皮
・萌出後に消失
エナメル芽細胞の最後の産物
先天性ナスミス膜(歯小皮)は、歯冠が口腔内に萌出する直前に、エナメル芽細胞によって産生されます。
エナメル芽細胞の最後の機能的産物です。
この歯小皮の外表面には、エナメル器の細胞残遺物が含まれており、これを縮合エナメル上皮と呼んでいます。
・エナメル芽細胞が産生
歯肉溝内には残存して歯肉の付着に関与
歯小皮(先天性ナスミス膜)は、対合歯と接触する部分が消失する一方、歯肉溝内では残存することが多いです。
機械的に削られることがないためです。
歯肉溝内に残存した膜は、歯肉が歯面へと付着するのを助ける役割を果たします。
・歯肉溝内で残存
・歯肉の付着に寄与
先天的か後天的か
歯の表面に生じる膜として、ペリクルというものがあります。
ペリクルは獲得被膜とも呼ばれており、歯が萌出した後に生じるものです。
ペリクルも歯面を酸性刺激から守る役割を果たすのですが、歯小皮とは産生されるプロセスもタイミングも異なります。
・歯小皮 → 萌出前に形成
・ペリクル → 萌出後に形成
ペリクル(獲得被膜)については個別ページをご覧ください。
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