差動矯正力(サドウキョウセイリョク)
差動矯正力とは
差動矯正力(differential force)とは、歯を動かす際に必要となる力が、歯根の表面積によって異なることを意味する概念です。
ですから、歯根がひとつしかない歯よりも、複数ある歯の方が必要となる矯正力が大きくなります。
つまり、単根歯である犬歯よりも、複根歯である大臼歯の方が大きな矯正力を必要とするのです。
ただ、この概念には、「大は小を兼ねる」という言葉が当てはまらないのでご注意ください。
例えば、犬歯を動かせる程度の矯正力では、大臼歯は動きません。
それなら、大臼歯を動かせる矯正力なら、犬歯も一緒に動かせそうなものですよね。
けれども実際は、大臼歯に適した矯正力では、犬歯は動かず、大臼歯のみ動くこととなります。
これが差動矯正力の最も重要なポイントです。
強い力でなぜ犬歯は動かないの?
ではなぜ、強い力で犬歯を引っ張っても、動かなくなるのでしょうか。
強い力を作用させた際に、犬歯の歯根膜周辺で、広範な硝子様変性が起こっているからです。
ちなみに、犬歯と大臼歯の相互牽引では、それぞれ以下のような力が適正な値となります。
犬歯 → 150〜200g
大臼歯 → 300〜500g
以上のことから、移動したい歯の歯根面積を考慮しつつ、適切な矯正力を加えていかなければ、歯列矯正を成功させることは難しいといえます。
差動矯正力(サドウキョウセイリョク) 関連ページ
- 口腔習癖
- 矯正力の作用時間(持続的・断続的・間歇的)
- 固定源の部位による分類(顎内・顎間・顎外)
- アーチレングスディスクレパンシーの求め方
- トータルディスクレパンシーの求め方
- 矯正装置の種類
- ヘッドギアの構造と使用目的
- リップバンパーの使用目的と副作用
- アングル(Angle)の分類
- 歯の移動様式
- アクチバトールの適応症と禁忌症
- U級用アクチバトール
- V級用アクチバトール
- タングクリブの構造と使用目的
- フレンケル装置の使用目的と適応症
- ナンスのホールディングアーチ
- スライディングプレート
- 二態咬合(ニタイコウゴウ)〜デュアルバイト
- 上顎前方牽引装置〜プロトラクター
- オーバーコレクション
- 予測模型(ヨソクモケイ)
- トゥースサイズレイシオ
- 平行模型(ヘイコウモケイ
- 連続抜去法(レンゾクバッキョホウ)
- スピーの彎曲(ワンキョク)
- 下顎角(カガクカク)
- 鋏状咬合(ハサミジョウコウゴウ)
- ANB角
- トゥースポジショナー
- 咬合斜面板(コウゴウシャメンバン)
- HIP平面(ヒップヘイメン)
- 重ね合わせ法(セファロ分析)
- Y軸角(ワイジクカク)
- タイポドント
- 鞍状歯列弓(アンジョウシレツキュウ)
- セプトトミー
- 顎態模型(ガクタイモケイ)
- バイオネーター
- セクショナルアーチ
- サードオーダーベンド
- スペースリゲーナー
- 犬歯間保定装置(ケンシカンホテイソウチ)
- 加強固定(カキョウコテイ)
- 加強固定に使われる矯正装置
- 自然的保定(シゼンテキホテイ)
- ガミースマイル
- 急速拡大装置
- 構成咬合器(コウセイコウゴウキ)
- 本格矯正(ホンカクキョウセイ)
- 眼窩平面(ガンカヘイメン)