ホワイトマージンとコントラクションギャップ
ホワイトマージンとは、コンポジットレジンで修復した際に生じる、エナメル質の亀裂のことです。
コンポジットレジンには、光重合型と化学重合型とがありますが、どちらにしても、固まる際に、重合収縮というものが起こります。
ドロドロとしていたものが固まって、少し小さくなる現象が重合収縮です。
では、なぜコンポジットレジンが重合収縮すると、エナメル質に亀裂が生じるのでしょうか?
それは、コンポジットレジンの接着性が向上したためです。
う蝕部分を削り落し、生じた穴をコンポジットレジンで満たしたとします。
その後、コンポジットレジンが固まる過程で、中心に向かって小さくなっていったら、穴の辺縁はどうなりますか?
接着性が向上していますから、縮んでいくレジンの力を直に受けてしまいます。
その結果、亀裂が入り、白線としてのホワイトマージンが現れるのです。
コンポジットレジンの接着力が向上したことによる弊害と言えます。
そうなると、コンポジットレジンの接着力は向上しない方が良かったように思えますよね。
けれども、それは間違いです。
コンポジットレジンの接着力が弱いと、今度は収縮応力(縮まる力)の方が大きくなりますから、コンポジットレジンは窩壁からあっさり剥がれてしまいます。
その結果、歯質とレジンとの間に隙間が生じてしまうのです。
そうして出来た隙間をコントラクションギャップと言います。
コントラクションギャップは、二次う蝕の原因となりますので、非常に危険な隙間と言えます。
そういったことから、コンポジットレジンの接着性が向上したことは、とても有意義なことであると言えるのです。
それなら、どうすればホワイトマージとコントラクションギャップを防止できるのでしょうか。
その答えは、「C-factor」にあります。
「C-factor(ファクター)」は、以下のようなに表されます。
窩洞の総面積/修復物の表面積
これをさらにわかりやすく表すと、以下のようになります。
接着面積(接着しているレジンの表面積)/非接着面積(露出しているレジンの表面積)
この値が大きくなるほど、重合収縮応力の影響は大きくなります。
つまり、ホワイトマージンとコントラクションギャップが発生する可能性が高くなるのです。
この値を上手くコントロールすることで、ホワイトマージとコントラクションギャップを防止することができるのです。
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