う蝕の診査法
う蝕の有無や進行度は、以下の8つの方法で診査することができます。
視診は、口腔内を肉眼で診査する方法です。
歯面の色や凹凸などを目で見て調べます。
初期う蝕になると、歯面に凹凸が出来たり、ザラついたりします。
それを探針(エキスプローラー)を用いて診査することで、う蝕を発見します。
小窩裂溝のような、視診では判断しにくい部分に探針をあてて調べます。
隣接面う蝕はデンタルフロスを通すことで診査します。
もしも、隣接面にう蝕があれば、フロスから粗造感が伝わり、糸もほつれていきます。
咬翼(バイトウィング)法
咬翼法(コウヨクホウ)は、う蝕のエックス線診査でよく用いられる方法です。
以下のような項目を対象としています。
隣接面う蝕
歯槽骨頂縁の状態
髄角の様相(髄質とその周囲の歯質)
修復物の適合度
上下顎の咬合状態
咬翼法では根尖が写らないため、根尖性歯周炎や歯髄炎の有無などを診査することは不可能です。
また、頬や舌面う蝕の診査にもあまり向いていません。
透照診(トウショウシン)とは、患歯に対して強い光を当て、歯質の異常を調べる方法です。
光ファイバーやレジンの光照射器などが用いられます。
これらを歯に当てると、歯質が透けて見えて、隣接面う蝕や歯冠部の亀裂及び破折線などを発見することができるのです。
隣接面う蝕
歯冠部の亀裂や破折線
インピーダンス測定検査
インピーダンスとは電気抵抗値のことです。
カリエスメーターなどを使って、歯の電気抵抗値を調べることで、う蝕の進行度を診査します。
単位はΩ(オーム)となっています。
電気抵抗値によって、以下のように、う蝕の進行度を見極めることができます。
600kΩ以上 → CO
250〜599kΩ → C1
250kΩ → C2
15kΩ → 露髄
ちなみに、インピーダンス測定検査では、導電体を用いるため、隣接面う蝕には不向きであると言えます。
歯髄電気診
歯髄電気診とは、歯髄の生死を調べる方法です。
健康である対照歯を設定して、患歯と比較をすることで、歯髄の状態を診査します。
温度診(オンドシン)とは、歯に冷温刺激を加えて、歯髄疾患を診査する方法です。
麻酔診とは、痛みの原因歯が特定できない時に行われます。
各部位に局所麻酔を施していき、痛みが消失したら、患歯であることが特定されてます。
レーザー蛍光度測定とは、半導体レーザーを用いた診査法です。
励起波長620〜650nmの赤色半導体レーザーを歯質に照射します。
ちなみに健全歯質とう蝕部とでは、680nm以上の蛍光波長で差が見られます。
このレーザーを用いれば、う蝕の進行度を数値化して表すことが可能です。
そのため、非常に客観性の高い診査法であると言えます。
ただし、隣接面う蝕の診査では、あまり効果を発揮しません。
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