歯肉癌の症状や組織像
歯肉癌(carcinoma of gingiva)とは、歯肉に発生する悪性腫瘍です。
口腔癌の中では、舌癌に次いで発生頻度が高い癌となっています。
・舌癌の次に多い
歯肉癌は、50歳以上の男性に発生しやすい癌です。
顎骨中心性のものは比較的若年者に多いです。
・50歳以上の男性に好発
・顎骨中心性は若年者に多い
歯肉癌は、臼歯部歯肉に好発します。
とりわけ下顎臼歯部に発生しやすい傾向にあります。
・下顎臼歯部歯肉に好発
歯肉癌は骨浸潤性が高く、早期に顎骨を浸潤破壊します。
それに伴って、歯牙の動揺も見られますが、歯周病との確実な鑑別が必要になります。
下歯槽神経分布領域に病変が生じると、知覚鈍麻や感覚の麻痺といった症状が出ることもあります。
肉眼的には、歯肉に潰瘍が見られます。
下顎の場合、潰瘍は頬粘膜から口腔底、舌下部に波及していき、骨浸潤へと至ります。
・早期の顎骨浸潤
・歯牙の動揺(高度)
・知覚鈍磨や麻痺(下歯槽神経分布領域)
・歯肉組織に潰瘍
歯肉癌は発生部位に応じて、以下の割合で顎下リンパ節へ転移します。
・上顎歯肉癌 → 38%
・下顎歯肉癌 → 65%
歯肉癌の5年生存率は以下の通りです。
上顎歯肉癌 → 23%
下顎歯肉癌 → 47%
明らかに上顎歯肉癌の生存率が低くなっています。
転移を起こしやすいのは下顎歯肉癌です。
歯肉癌ではそのほとんどの症例で、中等度〜高分化型扁平上皮癌が認められます。
・中等度〜高分化型扁平上皮癌
エックス線では、骨の破壊吸収像が確認されます。
三日月型、すり鉢状、虫食い状、船底状といった様々な吸収像が見られます。
歯肉癌では、次の3つの治療法を必要に応じて選択します。
・手術療法
・放射線療法
・化学療法
手術療法では、再建手術を伴います。
上顎歯肉癌では、これら3つを併用した治療が行われることが多いです。
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